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最高裁判所第二小法廷 昭和42年(オ)1403号 判決 1968年4月12日

上告人

平和住宅有限会社

右代表者

大島松枝

右代理人

甲元恒也

被上告人

山地木材株式会社

右代表者

山地忠志

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人甲元恒也の上告理由第一点について。

喪失した白地手形について除権判決がなされた場合でも、右判決によつて当該白地手形自体が復活するわけではないから、除権判決を得た者は、それのみでは白地を補充して手形上の権利を行使するによしないものというべきである。上告人において原判示支払命令申立にあたり白地を補充する旨の手形外の意思表示をしたからといつて、これにより白地補充の効力を生じたものとすることはできない。論旨は、右と異なる独自の見解に立つて、原判決を非難するものであつて、採用しえない。

同第二点および第三点について。

本件除権判決表示の手形と喪失手形との同一性を云為する論旨は、原判決の傍論的記載部分を非難するものに帰するのみならず、原審の確定した事実関係に照らせば、右両手形が同一性を欠くものである旨の原審の判断は是認しうるところである。したがつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しえない。

よつて、民訴法四〇一第、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。(奥野健一 草鹿浅之介 城戸芳彦 色川幸太郎)

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